小さな抱擁

５才

｢竜真、リコーダー持った？｣

｢持ったぁ、お姉ちゃんはお弁当持った？｣

｢持ったよ、よし行こっか｣

雀が静かにさえずる朝。時刻は８時ちょうど。

手を繋いで私と竜真は家を出た。

小学４年生の竜真、高校１年生の私。年の差は５才。

私と竜真はお隣りさんで、これから１週間旅行でおじさんとおばさんが居ないからと、うちで竜真を預かっているのだ。

長い付き合い、慣れたことだ。