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初めて会ったのは6年前。私たちがこちらに引っ越してきたのだ。
初対面から竜真は人懐こく、可愛かった。私はすぐに仲良くなった。小さな子供は元々きらいでない。
お互い一人っ子で、まるできょうだいの様に育ってきた。
親も仲が良く、違和感は何も無かった。弟ができたみたい、と嬉しかった。
「お姉ちゃん、信号変わったよ」
「っえ? あぁ、渡ろうか」
竜真は私の手を引いて歩きはじめる。もう片方の手はピンと空に向かって伸びていた。
「偉いね、ちゃんと手挙げるんだね」
「お姉ちゃんもあげなきゃだめだよ」
竜真は間の抜けたような笑顔を私に向けた。
―…っ。
「……そうだね、先生言ってたもんね」
私は肘を折りたたんで小さく手を挙げた。
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