一撃目

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僕は死ぬんだ…そう思えた。しかし、どこからともなく声がしてくる。 『カレーは無しで肉じゃがだね、肉じゃがだね…肉じゃがだね…』 『その肉じゃが待ったぁぁぁああ!!!』 僕は死の淵から抜け出し、手荒く呼吸器を外して、なんとか会社に着いた。 『君が只野君か、えらく傷だらけだね』 『大丈夫です!アイキャンフライです!』 この人は鬼塚権造(おにづかごんぞう)さん。 工場で一番偉いお方だ。 『何がアイキャンフライだ!四時間遅刻してんだよ!!この能無しが!!』 『す、スミマセン…しかしこれには事情が…』 『事情もへちまもあるか!!こわっぱがっ!!一ヶ月ただ働き!!もう決めたし!!』 『えっ!!…は、はい…』 (とんでもない会社に入ってしまった…) 後に、この一ヶ月ただ働き事件がもとで死者三百人をだす騒動に発展するのだが、それはまだまだ先の話である。
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