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どうやら二人は知り合いらしい。
「何故生きてる!?
お前は確かに俺の…!!
俺の手で……滅却したはずだ……」
「あぁ、だからこそ今の僕があるんだよ。
僕はもう《あの姿》になることはない。
けど、運よくある能力だけ残ってくれてね。
今は都市伝説の情報屋をやってるんだ。」
秋斗と旭には何がなんだか解らなかった。
しかし、これだけは理解できた。
この二人の間には、自分達が理解できないほどの深い因縁があるのだと。
「《広域心見(こういきこころみ)》か、今のお前なら桜峰全域を見渡せるってことか。」
「正解だよ。
《九尾の狐》の九つの能力の一つ広域心見、きっとこの能力が残らなければ、僕は完全に消滅してただろうね。」
九尾の狐、その一言に秋斗と旭は驚愕した。
九尾の狐の存在は二年前にニュースでも報道された、とても大きな都市伝説事件なのだ。
「正直複雑な気分だ。
二年前はそれでいいんだと自分に言い聞かせ、お前を滅却した。
確かに生きていてくれて嬉しいよ。
けど、なんか、やっぱ複雑な気分だ。」
そう言った零夜の表情は、複雑に感情がせめぎあっていた。
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