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「旭、あんま零夜を困らせるなよ。」
零夜と旭がそんなやり取りをしていると、不意に後ろからそんな言葉が聞こえてきた。
「五月蠅いなぁ、零たんは別に困ってないもん。
お兄ちゃんは黙っててよ。」
「秋斗か、お前は毎度毎度ナイスタイミングで現れてくれるな。」
二人に声をかけた人物は一ノ瀬秋斗(いちのせあきと)、旭の双子の兄だ。
旭と秋斗は双子なのだが、誕生日が違うという珍しい双子だった。
具体的に言えば、秋斗は10月11日23時57分、旭は10月12日0時9分、つまりは出産中に日を跨いでしまったのだ。
「あぁ、授業終了のチャイムの直後に、叫びながら廊下を走っている旭を見かけたのでな。」
ちなみに、零夜のクラスは三組、秋斗は二組、旭が一組だ。
「なるほど、旭が叫びながら爆走してくれたお陰で、俺は助かったのか。」
「ちょっと零たん、それどーゆー意味よ。」
旭は確かに学校一の美少女なのだが、あまり頭はよくなかった。
「はぁ、それよりも飯、行くんだろ?」
秋斗が自分の弁当を見せながらそう言うと、零夜は無言で頷き秋斗とともに歩きだした。
「ちょっと二人とも、私を置いていかないでよぉ。」
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