刹那、恋する。

思い出

私を救ってくれた上司は『高瀬光貴』

「鷹世リン…？俺たち名字の読みが同じなんだね。よろしくね」

とてもスーツが似合う人だった。

「たかせっていうのは、自分の名前をよんでるようで嫌だから、リンさんでいいかな？」

物腰の柔らかい人だった。

「大丈夫？」

よく気がつく人だった。

「こうしてたら、寂しくないだろ？」

なんて優しく抱きしめてくれる人だっただろう。

人の温もりがこんなに気持ちいいと思わなかった。

でも初めから私以外の誰かのものだってちゃんと意識すべきだった。

ずっと素敵な彼を追いかけていたから、周りが目に入らなかった。

今思い出すのは

彼の素敵なところと

別れの場面。

走馬灯のように。

目の前を過ぎる。