おわりははじまり

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頭の中を初めから整理しなくては。 そう、ことの起こりは私の恋人からの決別の言葉。 私の恋人は、今となっては恋人ともいえないかもしれないけれど、彼女がいた。 私はいわゆる浮気相手。 同じ会社の上司だった彼は初めて出会った時から人のものだった。 「好きになった人にたまたま愛する人がいた」 彼の愛する女性より私は愛されなかっただけ。 ただそれだけ。 すごく冷静で頭の回転が早い彼をはじめのうちは尊敬のまなざしで見つめていた私だけど、彼に触れた途端、気持ちが動き出した。 好きで好きで好きでたまらなかった。回り出した歯車は巻き込まれたら、ただ飲み込まれるだけ。 「肩の力、抜いてもいいんだからな」 彼の言葉には強力な魔力があって私の心をすっかりと支配したんだ。
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