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なかったことにしよう。
心に決めた。
あの日のあの過ちは私の記憶から葬り去るのだ。
例え、彼に捨てられたからといってよくも知らない男性と一夜を過ごしてしまうなんて…
「ありえない!」
いつの間にか目の前にいた同僚のマリコが私に向かって叫んできた。
「リン、ありえないよ!合コンのとき抜け出しちゃうなんて!心配したんだから」
あの日のワインが私の頭をかすめた。
「ご、ごめん。ちょっと酔っぱらっていたみたい。」
「で、やまとさんもいなかったけど一緒だった?まさか寝ちゃった?」
やまと…っていうんだ。彼。
細身に見えるけど、実はがっちりした肉体を思い出してあれは夢じゃなかったんだと感じた。
「え、ち、ちがうわよ」
「…やまとさん、リンのこと気に入ったみたいだから連絡先教えちゃったけど」
なかったことに、
なかったことに…
「えっっ?!」
できないかも…?
嫌な予感がした。
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