悪夢

3/6
前へ
/71ページ
次へ
「こんばんわ」 目の前にはなかったことにしようとした一夜の相手。 会社帰りに道端で偶然…なんてことは有るはずもなく。 明らかに私を待ちかまえてた。 「…なんでここにいるんですか。」 「合コンにいた子に聞いた。リンちゃんのこと。リンちゃん、あの日、目を覚ましたとおもったらすぐ逃げるんだもんな」 何事もなかったような口調で私を諭すように、彼はゆっくり言葉を紡ぎ出す。 多分…こんな一晩の関係ではなく、徐々に親しくなるならば彼はとても素敵なんだろうな。 一線を越えると男女関係は均衡を崩す。 うまくいけば特別な関係になれるかもしれないが、その逆も然り。 自分の好意が相手に負担になることの方が多いのかもしれない。 特に男性は負担に感じる割合が多い。種を残す本能に従えばたくさんの女性と関係を持ちたいと思うのは仕方ない。だけど、責任は負いたくない。 透けて見える。 男の心なんて。 目の前の男も 私を捨てた男も 結局は興味本位。 飽きたら捨てる そんな思考が一気に駆け巡る。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

367人が本棚に入れています
本棚に追加