運命の再会

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漫画の様な司令室。巨大なオーロラビジョンの周りには、全て違う映像の流れている数百もの小さなモニター。それと、コンピュータらしき物を操作する人が数百人。 その数百人が一糸乱れぬ動きで一斉に立ち上がり、僕らの方に敬礼した。 『お帰りなさいませ総督!』 「うむ、みなご苦労。3分後に全部隊に向け重要連絡を流すから準備してくれ」 『了解』 ……なんだこれ。 メイちゃんの話が終わると全員は再びコンピュータに向き直った。その統率の取れた動きは軍隊だって目じゃない。 訳が分からない僕は、取り敢えずメイちゃんの顔を見る。メイちゃんは正面のオーロラビジョンを見据えたまま、凛とした声で話し始めた。 「さて、3分で説明しよう。ここは報道室。組織内の監視及び指示を行っている。設備は世界最高峰のエンジニアによる我が社独自の物だ。SOMYやMichaelsoftなんぞ目じゃない技術だぞ」 次に。そう言ったメイちゃんは僕の方に向き直った。 「気付いているだろうが、我が社は経営アドバイザーなどでは無い。言うなれば秘密結社だな。我々はある目的のために活動している」 「ある目的?」 目をつぶりふふっと笑う。この笑い方は思い出し笑いだ。 何さ。 「昭和時代にあった学生運動は何故消えたんですか。小学校の歴史の授業でそう質問した輩がいたのを覚えているか」 「覚えているも何も、それ質問したの僕じゃん」 未だに答えは出てないけどね。 ただ予想は出来ている。人は学ぶ。安保闘争にしろ中国の天安門にしろ、結局は無駄だった。無駄だと分かっているのに、今更やる人はいない。 「彼等は本気で日本を変えようとしていたが、実力が無かった。近代兵器がはびこる現代では革命も起きにくい。しかし……おっと、3分経ってしまった。済まない、続きは感じてくれ」 そう言うとメイちゃんは中央の白いペンタゴン形ステージへ上って行った。 それにしても感じろって……。
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