運命の再会

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『経営戦略部についてだが、これはある大学生が卒業論文内で提唱したものを大いに参考にしている。内容を要約すれば、日本を1つの企業と見立て、税金以外の活動資金を得るための部署だ。論文では経営省と称していたがな』 驚いた……僕の論文だ。 元来公共は儲けちゃいけない風潮がある。なのに、金がない。 財源確保のため税金を上げると、ヒステリックに反対する国民とマスコミ。そのくせ、権利ばかり求める。 この不況。国内からはお金が取れない。じゃあ海外から取れば良いというのがこの論文の内容だ。 その具体策は…… 『株だ。日本が不況だからといって、他もそうだとは限らない。富める国には富める企業が、成長著しい国にはそんな会社が確かにある。ならばその期に乗じてやろう。禿鷲と呼ばれようじゃないか。成功者に妬みはつきものだ。罵声は誉れである。侮辱と賞賛が表裏を共にする事は世の理なのだ。ただ……』 悠然と語っていたメイちゃんだけど、視線を落とし言葉を一度切った。 そう、この態度から分かるように、これには根本的な落ち度がある。 『国家がこれをやれば、たちまち国際情勢が悪くなる。腐っても鯛だ。我が国にも世界最大の農業会社(豊宝)の筆頭株主になる程度の財力はある。だが、自国の会社が他国の会社ではなく国そのものに乗っ取られたとなると、話は穏やかでなくなる。最悪、戦争を覚悟するべきだろう』 そう、この問題のせいでこの論文は通らなかった。 それなのに、何でメイちゃんはこの話題を? というより何で知ってんの? 僕のミス論文。
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