猫と少年

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猫と少年

やさしい やさしい 夢を見る日… やさしい やさしい 月に照らされる時… 一匹の猫と少年は 出会いました。 黒い毛並みをした猫は、 真っ暗な 真っ暗な 檻の中。 ねえ ねえ 猫さん。 どうして君は檻の中にいるの? 少年は問います。 私は、決して許されはしない罪を犯しました。 だから 此処にいるのですよ。 猫は答えます。 一人で悲しくないの? 少年はまた問います。 もう、慣れてしまいました。 猫はまた答えます。 そして少年は首を傾げます。 きっと 悲しいよ、と。 けれど猫は仕方がないことだと 首を振りました。 いけないことをしたら 償わなくてはならない。 悪いことをしたら 償わなくてはならない。 それは決まっているのだと 猫は少年に教えました。 少年はまた 悲しいね、とつぶやきました。 そして小さな手を伸ばし 猫に触れます。 ねえ 約束してあげる。 いつか僕が大きくなったら 君を此処から出して上げるよ。 もう 悲しい想いをしなくていいように。 猫さんが、間違わないようにずっと 僕が傍にいてあげる。 いつか 貴方が… 自分を自分で赦せる日が来た時――… 必ず…… .
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