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「ジェイド!」
「え、はい。何でしょう?」
「何でしょう、じゃないだろ?どうしたんだよ。本買いに行くっていってなかなか戻ってこないから心配して見に来たんだぞ?」
「あぁ…すみません。つい、読み耽ってしまいまして……」
「絵本を、かい?」
ジェイドが手にしていた本を見て、ガイはくすりと笑った。
いけない…
私としたことがなんて間抜けなことをしていたのでしょうか。こんな『たかが絵本』くらいに、心奪われるなんて…
少し自己嫌悪しながらも私はすぐにガイからその絵本を取り替えした。
「何すんだよ、ジェイド。」
「いいんですよ、こんなもの。帰ってからじっくり読ませてあげます」
「え…」
そういうといくつかの他の本と一緒にお会計をしに行った。
「旦那、買うのかい?」
「えぇ、だって読みたいのでしょう?貴方が。」
「いや、別にそういうわけじゃっ…」
買って貰うことが申し訳ないと感じたのか、ガイは慌てて手を振って否定をした。けれど私はそんな事も無視をしてお金を払い、本を受け取るとはい、と言ってそれをガイに渡した。
「あ…」
「ガイ、こういう時はなんて言うんでしたか?」
「…ぁ、ありがとう//」
少し不満そうな顔をしながらも頬を赤らめてそう答えた相手が、とても愛おしかった。
そう。
貴方はちゃんと、約束を守ってくれました。私を暗闇から引きずり出して、こうして傍にいてくれる。それだけで、私は赦されたような気持ちになれるのですから…
「さぁ、ガイ。早く帰らないと一雨振られてしまいますよー♪」
「ちょ、待ってくれよ旦那っ!」
やさしい やさしい
雨が降る日…
やさしい やさしい
夕暮れが照らす時…
再び出会った
一匹の猫と少年は
約束を果たし
ずっと一緒にいましたとさ
お話は、ここで
おしまい…
END
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