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――翌朝
真人は今日もいつもの場所に立ち悠也の家を見つめていた。いつもと同じ壁に寄り添い、いつもと違う想いを胸に。
……大丈夫
大きく深呼吸をし、真人は空を見上げた。
ベランダから真人を見下ろし微笑みながら手を振る廉を見上げコクンと頷く。
「明日も行くんでしょ?見守っててあげるから頑張ってね!」
昨日、別れ際に廉が囁いた言葉。
その言葉にどれだけ勇気付けられたか分からない。
廉が居なかったらきっと今日も真人は踏み出す事が出来ず一人通学路を歩いていた筈だ。
……好きになっていいですかって、結構本気だったりするんだけど、僕には三上先輩は勿体無いし……やっぱ吉野先輩怖いもんなあ
少しだけキュンと高鳴る胸を押さえながら、真人は走り出した。
「あの……豊田先輩っ!」
背中を押してくれた
強くて優しい廉の言葉を胸に
真人は今、新たな扉を開いた。
終
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