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「……悔しくないんですか?」
「何が?」
「好きな人横からかっさらわれて悔しくないのかって聞いてんだよっ!」
「突然どうしたの?」
「何であんたはそんな冷静なんだっ!本当は僕の事だって嫌いな癖に何で笑うんだっ!」
静まり返る校庭。
女生徒達は驚きの表情で真人を見つめ固まっている。
それもその筈だ。
真人の裏の顔を知る生徒はほんの一握りしか居ないのだから。だがそんな事は気にも止めず真人の視線は真っ直ぐ廉を射抜いた。
「嫌いなら嫌いって言えよ!僕に構うな……」
「佐々木君……落ち着いて」
「何でっ、何であんたは……」
「とにかくここじゃあれだから、行こう」
怒るでもなく真人の手を握り廉は歩き出した。
ざわめく校庭を何事もなかったように淡々と。
その余裕な態度が気に入らなくて、だけど優しい手の平を振り払う事も出来ず真人は黙って廉の後に続いた。
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