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「…え?まさか。そんなわけないじゃん。」
即座に否定する私に、美里が続ける。
「じゃあ、どうして咲良はいつも本田くんを見つめてるの?」
それは、見てると楽しい気持ちになるから…
「本田くんを見て、胸がドキドキしたりしないの?」
それは…するけど…
「本田くんと話をしたら、嬉しくなったりしないの?」
確かに、ちょっとした会話、例えば
『先生が呼んでたよ』
とか、
『ちょっと消しゴム貸してくれない?』
とか、そんなくだらない些細な会話でも話が出来ただけで嬉しくて、家に帰ってから何度も何度もその日の一言二言の会話を反芻してたりもしたけど…
「顔を見ただけで嬉しくなったり、幸せな気持ちになったりしたことはないの?」
そんなのはいつものこと。
本田くんを見ると、幸せな気持ちになる。
本田くんが笑ってるだけで、私まで嬉しくなってしまう。
「それを人は『恋』って呼ぶんだよ、咲良。」
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