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「やぁぁぁッ! 止めないでよーッ! あたしの卒業かかってんのよ!? 最後くらい、思いッッきりやらせてよおぉぉッ!!」
甲高い叫び声と共に、自然の物ではない真っ赤な閃光が、幾条も辺りを突き刺した。
キアノスは一瞬目を伏せ、次いで目を見張る。
(試験室は全て“解呪”されているはず! なんで試験室の中で魔術が発動してるんだ!?)
じっくりと考えている暇はなかった。
真っ白な光球に目を灼かれたと思うと次の瞬間、爆風が廊下を駆け抜け、扉を大きく押し開いたのだ。支えを失ったキアノスの上半身が部屋の外によろめき出る。
肩口から舞い上がった髪が乱雑に顔を叩き、ゆったりとした服が風をはらんで真っ直ぐに立てない。
上着の袖を翳して目を守ろうとしたが、しかし、キアノスは閃光や爆風以上の異常な“力の圧”を感じて戦慄した。
息が苦しい。
体が重い。
腕さえ上げられない。
(この圧迫感……何だ!?)
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