第一章:迷子少年

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「はぁー……」  もはや溜息しか出ない。道に迷ったと気付いてから既にニ十分が経過した現在、俺はとりあえず見つけたコンビニに自転車を止め、持っていたお茶で喉を潤している。  それにしても…… 「中二になって迷子って……」  まさかこんなことになるとは思わなかった。何と言ってもここは一応地元なわけだし、電車でブラリ途中下車したわけではなく、あくまでもアシは自転車だ。よもや迷子になるなど誰が考えられようか?  ゴクッとペットボトルの中身を飲み干し、備え付けられたごみ箱へ放り込む。  ……ん?家庭ゴミはご遠慮ください?何それ食えんの? 「さってと……」  気合いを入れるようにそう言って立ち上がる。とりあえずはどっちに向かうか決めなくては……  目の前にある道を見つめる。このコンビニはちょうど十字路に面しているため、選択肢は全部で四つ……ではなく三つ。来た道を戻るなんて言語道断だ。だってほら……なんか負けた気がするし。  どの道も向かう先には住宅地が広がっていて、その先に何があるかはわからない。ならばどれを選んでも構わないだろう。努めて冷静にそんなことを考える自分に惚れ惚れしながら今度は財布をチェックする。  ……うん、小遣いもらったばっかりだし、服は買ったけどまだまだ二千円ほどの余裕はある。  さぁ、最後に携帯の確認だ。電池残量は残り七割。よし、何とかなるだろう。  ……と、携帯の中でとある機能を見つけた。 「こ、これは!?」
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