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「放せ」
男は美咲の手を振り解いた。
「あのなぁ力を発揮すりゃあ服なんか関係ねえんだよ」
「は?」
「それより前見ろよ」
美咲が男の指さす方を見ると鎧姿の猫がいた。
おそらく自分と同じ立場だということは美咲はすぐに分かった。
「俺の名前は…いや、死ぬ奴に名前なんか教えるだけ無駄か」
鎧の男は槍を構えた。
美咲は説明してもらおうと振り返ると既に姿はなかった。
「あのヤロー…にげたなぁあ!」
「無駄口をたたく暇があるのか…俺も舐められたもんだな!」
鎧の男は美咲との間合いを素早く詰め、鋭い槍を突いた。
「うわあっ!」
槍は美咲の脇を逸れ服を巻き込み塀に突き刺さった。
「お前俺の服!それに塀を壊すな!」
「おらっ!」
「え?」
鎧の男は槍をバットのように振り、美咲は向かいの家の塀に吹っ飛んだ。
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