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移動するゴジラの頭に人影が二つ、一人は守矢神社の巫女、東風谷 早苗とその神社に祀られている神の一柱、洩矢 諏訪子であった。
「いい加減機嫌なおしなよ、ゴジラを手に入れたんだからね?」
「だって諏訪子様、あんなのドラフト会議じゃないんですよ!?外の世界にいた者として抗議すべきです!!」
早苗が怒っている理由はドラフト会議の内容にあった。
本来ドラフト会議は複数の選手と複数の球団、そして特殊なルールにより時には甲子園以上のドラマを生むとても素晴らしいものだ。
しかし、先程行われたのはただのくじ引きレベルで、正直ドラフト会議への侮辱に等しい行為(早苗談)であった。
ときどき幻想卿では外の世界の行事をマネしようとするが人から聞いて再現したものと一回見てから再現したとではかなりの差が出来てしまい、別次元のものへと変わり果ててしまってても本物を知らない幻想卿の住民達は疑問に思わない事が多い、サッカーが良い例だ。
「はぁ・・・しばらくは無理そうだね。」
ごめんね、と呟きながら諏訪子はゴジラの頭を撫でた。
「私達も比較的最近この幻想卿に来たばっかりでね、あの子にしてみればいきなり原始時代に来たような生活だから色々ストレスが溜まっているんだよ。」
諏訪子はしばらく黙っていると数回頷くと再び話し出した。
「・・・ゴ―ちゃんも色々苦労しているんだね。」
今まで怒っていた早苗だったがいきなりのちゃん付けには思わず反応してしまう。
「ゴ―ちゃんってゴジラさんのことですか!?」
「そうだけど早苗はなんでさん付け?」
「だってあのゴジラですよ?」
早苗が外の世界いた頃はゴジラと言えば地震や台風の災害以上の存在で、自分が住んでいた周辺地域には来なかったが(昔キングギドラなら来たらしい)恐怖の対象だったのだ。
それをいきなり自分達の近くに住まわせ恐らく一生面倒を見るのだ、常識にとらわれないと言った事もあったがいくら何でも非常識であり諏訪子のように柔軟に対応するのは難しいのだ。
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