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僕は、その時学校の屋上にいた。
僕の前にあるフェンスをよじ登り飛び降りようと思っていた。
勘違いしないでほしい、僕は別に虐められてなんかいない。
友達もいる。
親が両親共働きな事も別に問題は無い。もう自分の飯位自分で作れる。
よその家は、知らないがまぁ一般的な家庭だろう。
何にも問題は、無い。
ただ、僕が透明なだけだ。
透明ならば、飛び降りて死んだって別に問題あるまい。
僕が透明な事に気が付いたのは何時だったろう。
幼稚園の時、ずっと図書室にいたのに誰も見つけに来てくれなかった時か…それとも小学生の時、一ヶ月肺炎で入院していても友達は全く問題無く笑うんだと知った時か…中学生の時、家出の真似事をした時に親が自分がいない事にすら、気がつかなかった時か。
とにかく気が付けば、世界は僕と関係無く回っていた。
だんだんに僕は、確信していった…僕がいなくなっても困る人間なんて誰もいない。
それは、何故なのか何時からそうなってしまったのか。
ある日僕は、小説を読んで気が付いた…成程僕は透明人間になっていっているんだ。
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