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それは、僕にとって真実だった。
段々と透明になっていく。 鏡にうつる僕も僕の目で見る自分の手も…段々透明になっていく。
僕が透明だと自覚したからだろう。
周りの人が驚か無いのは、きっと本当は、ずっと前から透明だったからだ。
そして遂に…ある朝のホームルームで先生が僕の名前を呼び忘れた。いや、遂に先生にも見えなくなったのだろう。ふと自分の手を見た。
既に透き通って何も見えなかった。
そして、僕はふらふらと教室を出た。
気が付いたらここにいた。 学校の屋上に…別に透明になったのが苦しい訳じゃ無かった。
ただなんとなく、どうでも良くなって、フェンスに足をかけたんだ。
その時だった…何かが思いっきりぶつかって来た。
僕は、フェンスから屋上の床に落ちた。目をあけたら顔も知らない女子生徒が馬乗りになっていた。
あんた!なにやってるの!その女子生徒は叫んだ。 僕は、透明だから見えるはずないのに。
キョトンとする僕に彼女は、思いっきり平手打ちをした。じん、とする痛みが後から顔全体に広がっていく。
透明な僕を叩いた。痛みよりもそれが不思議で、僕は彼女を見た。
彼女の後ろに雲がかかった空が見える。
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