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ここに二人の男がいる。
ここが何処なのか、今が何時の時代なのか、果たしてこの二人が誰なのか、そんな事は気にする必要も無い程些細な疑問である。
それどころかこの二人が何故対峙しているのかすら、今となっては些細な問題なのだ。
もちろん、作者が今食べている大判焼きが、あんこなのかクリームなのかなんて、今は追求する必要は無いだろう。
ただ運命に導かれて戦う宿命であった二人が、互いに幾多のライバル達を退け、必然的に出会い…今その戦いが始まろうとしている。
それだけを知って貰えれば十分である。
二人を邪魔する物は、もう何も無い。
音も無い。
ただ死闘が始まる前の殺気に満ちた静けさが時折ふく風によってさらに鋭くなっていくだけである。
この広大な世界にこの二人以外いなくなったような錯覚さえ覚える。
一人が、すっと片手を相手から見えない位置に隠した。
敵に自分の武器を読まれないようにする為である。
長髪のこの男、便宜上今は鹿太郎と呼ぶ。
まさに鬼の形相で相手を睨みつけている。
その表情はまるで仮面のように動かない。
それがこの場の空気をさらに冷たいものにかえている。
対峙する短髪の男、便宜上今は馬次郎と呼ぶ。
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