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これは…昔、昔の物語。
まだ日本が江戸と呼ばれて、八代将軍吉宗が日本を統治していた頃のお話。
話をする前に少し説明しておこうか、この頃日本政府である幕府はどん底に貧乏であった。
そこで吉宗様は素晴らしくシンプルな解決策を実行した…倹約令である。
吉宗自身が実践し、質素な生活をしたからたまらない!
贅沢な品物は町から姿を消して庶民も質素な生活を強いられたのである。
そんな中、庶民のうさばらしか河原に幕府の指令に似せた悪戯書きの看板が、多数立った。
中身はなかなか洒落が効いている。
少し紹介しておこうか…「一つ、金魚は立派すぎるので銀魚にすること。
一つ、黄金虫は立派すぎるので真鍮虫にすること。」 こんな感じな風刺書きである。
しかし、この看板を見て酷く狼狽した一人の男がいた。
それは今、全力で東海道を西へ急いでいる男。
名前を銀次と言う。
かなりの速さで走っている、にも関わらず男は汗一つかいていない。かなり二枚目の色男だ。
身なりは、小綺麗だがどこかバランスの悪い恰好をしている。
実を言えばこの男ただの人では無い…いや、人では無い。
言ってしまえば彼の正体は、タヌキなのである。
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