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この計画は、期間を二十年とした。
別名「化けダヌキ日本征服二十年計画」である。
かくして、日本中から才能溢れる若者ダヌキが、四国の金長の元に集められた。 そして想像を絶する様な修業が毎日続けられたのである。
滝にうたれる事五年、発声練習を五年、頭に葉っぱを乗せる練習を十年。
血の滲む特訓の日々で二十年が経過した。
未熟なタヌキ達も見事、皆凄腕の化けダヌキに変身したのであった。
そして今回、江戸の様子を探る為、金長の一番弟子であるこの銀次が四国から江戸へ旅だっていたのである。
日本の未来は、最早風前の灯火であった。
銀次が帰りしだい、一夜にして日本中の要人が入れ替わってしまう段取りになっている。
しかし、銀次の焦りは尋常では無い。
真っ青な顔で全力疾走しているのだ。
「一刻も早く帰らなければ。」そう呟くとみるみるタヌキの姿に戻り四本足で更に速く疾走した。
「全く、なんだって人間は二本足で歩くんだスピードが出やしない。」
全力で5日走って更に海路を1日また2日走って、銀次はついに金長の屋敷にたどり着いた。
「き、金長様~!」血相を変えて奥の金長の部屋に銀次が飛び込んで来た。
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