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そういって、魔法使いは少女の額を軽く小突いた。
するとどうしたことだろう、少女の背に徐々にではあるが翼が生えて来たではないか、翼は少しずつ成長し、しばらくすると少女の背にはみごとな純白の翼があった。
「どうして? 私、羽を全部は持ってこれなかったのに、何故? どうして?」
約束の枚数を持って来れなかったのに、何故翼を貰えたのかがわからず少女の思考は疑問の嵐だった。そんな少女を落ち着かせるように魔法使いは少女の肩に手をそっと置いた。
「いっただろう? 君はきちんと羽を集めたって」
にっこりと優しくほほ笑む魔法使い、しかし少女はいまだに納得がいかないようだ。
「なんで、どこにも羽なんてないよ、全部風と一緒に飛んでいったのに…」
美しくも儚く散って行った光景を少女は思い出した。
「あるさ、シャナのここにね。 君の体験した一年分の思いでとともに、君の胸の中、心の中にね。」
魔法使いはトンと少女の胸を叩いた。少女はポロポロと涙を流しながら、魔法使いに飛びついた。
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