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翌日、雨はすっかり上がり下草は陽光を照り返しキラキラと輝き、空は綺麗な蒼色で透き通り、ゆったりと白い雲が流れて行く。そんな中、純白の羽と、灰色の羽を持つ人影があった。
「ほんとに、ほんとにありがとう、ミリオンさん。私、なんて言っていいのかよくわからないけど…」
感謝の気持ちで胸いっぱいの少女はなにをいっていいのかわからなかったが、一生懸命その気持ちを伝えようとした。
「シャナが頑張った結果だよ、僕はほんの少し力をかしただけ、あとは君の努力の結果だ。そして、それが実ったから今の君がここにいる。それだけの話だ」
魔法使いは照れくさくなったのか、少し上向き加減でしゃべった。
「ううん、私に翼をくれたのはミリオンさんだよ。結局、ミリオンさんがいなければ私がこうしていることなんて絶対になかったんだもの、感謝してもしたりないくらいなの」
少女はぐぐっと、手を握り締めて魔法使いを見つめる。
(あぁ、そんな瞳で見つめないでください、本当に君を私のものにしたくなってしまうじゃないですか…)
魔法使いの心情など気にする事無く少女は魔法使いを見つめるので、話題を変えることにした。
「あ、ほらシャナ、迎えが来ていますよ」
魔法使いが見上げた空には無数の鳥達が輪になって青空を飛んでいた。少女はどの鳥にも見覚えがあった。
『シャナぁぁぁ、一緒に飛ぼうよー』
上空から少女に熱いラブコールが届く。
「みんな…」
少女の目元に微かに輝く水溜りが浮かぶ。
「私、もう行かなきゃ、ほんとに、ほんとにありがとうミリオンさん」
少女はそういうと軽く背伸びをして魔法使いにキスをして大地を蹴った。魔法使いは少女の行動にとまどったが軽く手を振って少女を見送った。
そして少女は憧れの大空へ羽ばたいた…
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