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『パシャ』
え?
何の音?
「今の、凄くいい顔してた」
「・・・してたって・・・」
何が起こったのか、全く分からなくて、目の前の人を凝視してしまう。
その人は、見つめ返してにっこりと笑った。
「ごめん、急にしたから・・・びっくりしたよな? 俺、カメラマンやっててさ・・・」
はいって、渡された名刺はシンプルで装飾が少しかっこよくできている。
名刺にはどこかの会社の名前と、この人の名前が大きく書いてあった。
「カメラマン?」
「そ、カメラマン」
にっこりと笑ったまま、大事そうに持っていたカメラを見せてくれた。
あ、そっか・・・さっき持ってたのって、"カメラ"だったんだ!!
ふと、目の前の人の顔を見ると、さっきまではにっこり営業スマイルに近い笑顔だったのに、今は、ちょっと意地悪な笑顔。
なぜか私は、急に胸が苦しくなった。胸を締め付けるような、そんな感じ。
「なぁ・・・」
「は、・・・っ」
声がしたから、反射的に上を向くと、何かが唇に当たった。
温かくて、少しだけ・・・柔らかいもの。
「・・・えっと」
「アレ・・・反応、ないんだ?」
「そ、そう・・・言われても・・・」
う言われても、何が何だか・・・。
私は混乱していた。
何が、起こったのか分からなくて・・・。
「・・・もっかい、しょうか?」
「えっ・・・」
髪に触れたり、私の髪を持ってキスした時に、真剣な何もかもを見透かした表情にぶつかった。
「何だか、よく分からないんだろ? だったら、した方が早いし」
「い、もう、いいです///」
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