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幻夢には何が起こったのか理解できなかった。
自然現象という言葉で片付けるにも無理がある。
「おぃ…こりゃア…何だ…父さんも母さんも吹き飛んじまってる…アアアアアァアア!!」
困惑し狂ったように叫んだが、不思議と涙は出なかった。
それよりも沸き上がったのは怒り。
幻夢の叫び声を聞いた職員が駆け付けて、職員棟に連れていった。
―職員棟会議室―
同日午後8時10分。
会議室にいるのは幻夢と校長のみで、幻夢の手元には自分の名札があった。
教室棟の管理人が名札を回収していたらしく、今、渡されたのである。
「私の名前はわかるね?幻夢くん」
「あーそりゃアな、今日の午前中に見たわけだしな、『大神』校長センセイ」
大神校長、50代前半くらいでオールバックにした髪が特徴で、長く伸びた髭が風格を放つ。
「こんな時にはね、言う言葉は決まっているんだよ…『ようこそ《夜の界》へ』ってね」
一方の幻夢は追い込まれると、冷静になる習性があったため、とても冷静に答えた。
「よく言えたもんだな」
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