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すると笹木は、顔色一つ変えることなく俺に近づいてきた。
『確かに―――ですが、会長が陸様に、どうしてもお訊きしたいことがあると仰いますので』
『―――祖父が?』
身に覚えのない俺が、思わず聞き返したが―――笹木はそれには答えず、意外な事を口にした。
『そういえば―――陸様、ご婚約が決まったそうですね。
おめでとうございます』
その言葉とは裏腹に、険しい表情を崩さない笹木に、少し苛立ちを覚える。
『俺の婚約は、父母とも了承済みだ。
祖父とは言え、今さらとやかく言われる筋合いはないと思うんだが』
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