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空は日の光を忘れ、月の光が朧気に地上を照らし出す時間帯。
日本のとある港を、一人の男が疾走していた。
激しく乱れる呼吸、額には凄い汗、どうやらこの男はかなり長い時間走っているようだ。
男が着いた場所は、大量のコンテナが置かれている所だ。
乱れた呼吸を整えながら、男はコンテナとコンテナの間にある小さな隙間に身を隠した。
「……な、なんなんだよ、あのバケモンは!?」
男は何かに怯えているのか、こんな真夏にも関わらず肩をブルブルと振るわせていた。
「…見ーつけた!」
その声が聞こえ、男の心臓の鼓動が速まる。
男は右を向くと、コンテナの隙間から見える外に、一人の男が立っていた。
蒼穹の如く美しい青い髪を風に靡かせ、刀の切っ先の様な鋭い金色の瞳を光らせ、男は此方を凝視している。
月明かりの下、こんなにも暑い夜だってのに分厚い黒のコートを見に纏い、右手には巨大な剣を握っている。
今のご時世、こんな不審者が街中を歩いていたら、間違いなく警官に職務質問される。
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