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「よう、クソ野郎…、本気でこのステイル・アビス様から逃げ切れるとでも思っていたのか?」
青い髪の男はそう言うと、右手に握っている大剣を勢いよく此方に振ってきた。
ブンッと風が気持ち良く切れる音と共に、男が隠れていたコンテナの上部がスパッと切れ、コンテナは凄まじい音と共に真っ二つになった。
「ひ、ひぃっ!!かかか、勘弁してくれぇ、俺は何も知らない、俺はただアイツらの指示に従ってただけなんだ!」
コンテナの隙間に身を隠していた男は瞳に涙を浮かべて、ステイル・アビスと名乗る男に必死に命乞いをしていた。
「おお、俺は被害者なんだ!アンタなら解ってくれるハズだ!……たたた頼む、頼みます!」
両手を合わせ、まるで神にでも祈る様に俺はステイルの前で膝まづいている。
「……なぁ、お前は神を信じているか?」
男を冷めた瞳で見下ろしながらステイルはボソリとそう聞く。
「し、信じてる!当たり前だ、俺は何にも悪い事はしちゃいない!だって…」
グチャッ!!
男はそれ以上は何も口にする事は出来なかった。
口にしようにも、もう口から上が無いのだから。
ステイルは顔に着いた返り血を拭こうともせず、かつて自分に命乞いをしていた男を見つめている。
「貴様が想う神などどこにも存在しない、俺がこの世の全て、つまり“神”とは俺様の事だ…」
目的を終えたのか、ステイルは男の死体を置いて、その場を去っていった。
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