第1章 「主役は遅れて登場するもの」

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時は七月十四日の蒸せかえる日中の事、日本のとある高級ホテルの一室にステイルは居た。 右手には携帯電話を握っている、何処かに電話をかけているのだろう。  「……俺だ、仕事は終わった、約束通り金を振り込んでおけよ…」 見るからに高級そうなキングサイズのベッドに腰を降ろし、携帯で誰かと話ている。  「……あぁ、……あぁ、………じゃあまた仕事があったら連絡してくれ、ハルトマン…」 そう言って電話を切った。 話の内容から察するに、おそらく昨日の港での一件は、彼がハルトマンと言う人物に依頼された仕事のようだ。 ブー、ブー、ブー…… 先程閉じたばかりの携帯のバイブが鳴り出した。 携帯の画面を見つめる、発信者は“ハルトマン”と表示されている。 ステイルは顔をしかめながら、電話に出た。  「……なんだ?何か言い忘れた事でもあったか?……………何、仕事?」 その後、ステイルは一言も発しず、ハルトマンの話を聞き入っていた。  「……わかった、じゃあ詳しい話は後で…」 そう言ってステイルは再び電話を切った。  「……悪魔退治か、面白い事件だ…」
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