234人が本棚に入れています
本棚に追加
ステイルはハルトマンから電話を終えると、何処かに出かけるのか、黒のコートを羽織った。
だが、昨日彼が手にしていた大剣は部屋の何処にも見当たらない。
ステイルはホテルを出ると、タクシーに乗ってとある場所を目指していた。
「……お、お客さん……、暑くないの?……その格好」
タクシーの運転手は後ろの席に座っているステイルに、ルームミラー越しにそう尋ねた。
「黙れ、貴様はただ運転をしてればいいだけだ、次つまらん質問をしたら頭を吹き飛ばすぞ!」
そう言って、ステイルは懐から取り出した銃を運転手の後頭部に構える。
「は、はひぃっ!すみませんでしたぁ!!」
中年太りをした中年の運転手は、その後何も口にする事はなかった。
走る事数十分、ステイルを乗せたタクシーはこの街の国際空港に着いた。
「………あ、あの?御代は……?」
ステイルはタクシーから降りると、金を払おうともせずに何処かに行こうとしていた。
「俺は先程貴様に侮辱された、逆にこっちが金を欲しいくらいだぞ?」
長細い切れ目で運転手を睨むステイル。
「…あ、そうですね、……これは失礼しましたぁー!」
そう言って運転手はそそくさと車を走らせていった。
最初のコメントを投稿しよう!