第1章 「主役は遅れて登場するもの」

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ステイルはハルトマンから電話を終えると、何処かに出かけるのか、黒のコートを羽織った。 だが、昨日彼が手にしていた大剣は部屋の何処にも見当たらない。 ステイルはホテルを出ると、タクシーに乗ってとある場所を目指していた。  「……お、お客さん……、暑くないの?……その格好」 タクシーの運転手は後ろの席に座っているステイルに、ルームミラー越しにそう尋ねた。  「黙れ、貴様はただ運転をしてればいいだけだ、次つまらん質問をしたら頭を吹き飛ばすぞ!」 そう言って、ステイルは懐から取り出した銃を運転手の後頭部に構える。  「は、はひぃっ!すみませんでしたぁ!!」 中年太りをした中年の運転手は、その後何も口にする事はなかった。 走る事数十分、ステイルを乗せたタクシーはこの街の国際空港に着いた。  「………あ、あの?御代は……?」 ステイルはタクシーから降りると、金を払おうともせずに何処かに行こうとしていた。  「俺は先程貴様に侮辱された、逆にこっちが金を欲しいくらいだぞ?」 長細い切れ目で運転手を睨むステイル。  「…あ、そうですね、……これは失礼しましたぁー!」 そう言って運転手はそそくさと車を走らせていった。
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