彼女

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『君の鼻にかかった甘ったるい声が  君が髪の毛を触るたび光る爪が  君のよく伸びる語尾が  君の一度見たら二度と忘れられない顔が ……大好きなんだ!』 ―――そう言って告白した日はいつだっただろう もう思い出せない。 ……いや、思いだせる きっちり時間まで覚えてる。 「ねぇー何ぼーっとしてるのー?」 甘い。 何もかも甘ったるいこの声の主は 俺の彼女だ。 俺の変態的な告白をえへーっと照れた顔で嬉しそうに頷いてくれ 俺は舞い上がってその夜携帯を握り締めたまま眠れなかったほどだ いつメールが来るだろう……そんな淡い期待を深夜まで。 まぁ燃費のいい期待だこと。 今の俺は冷めている。 彼女にじゃない 過去の俺自身にだ。
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