brand

12/12
前へ
/310ページ
次へ
私はしゃがんでアローンを抱き寄せ、ぎゅっと抱き締める。 アローンは目を丸くしていた。 「し、神父様──」 驚いているアローンの頭を優しく撫でる。 愛おしく、慈しんで。 顔を上げたアローンに優しく微笑みかける。 「泣いてもいいのですよ」 我慢することなどないのです。 無理をしなくていいのです。 まだ、子供ではないですか……。 するとアローンは目を潤ませて、私の胸に顔をうずめた。 小さな嗚咽が聞こえる。 私はただ優しく抱き締める。 「……っ、神父、様……」 「…はい」 ぎゅっとアローンは私のローブを握りしめ、泣きながら言った。 「…………何故……僕は、神に愛されなかったのですか…………っ」 それが、本当の、彼の本音だったのだ。 私は何も答えられず、ただアローンを抱き締めた。 ……何故神は、 彼を愛さなかったのだろうか……。 .
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加