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私はしゃがんでアローンを抱き寄せ、ぎゅっと抱き締める。
アローンは目を丸くしていた。
「し、神父様──」
驚いているアローンの頭を優しく撫でる。
愛おしく、慈しんで。
顔を上げたアローンに優しく微笑みかける。
「泣いてもいいのですよ」
我慢することなどないのです。
無理をしなくていいのです。
まだ、子供ではないですか……。
するとアローンは目を潤ませて、私の胸に顔をうずめた。
小さな嗚咽が聞こえる。
私はただ優しく抱き締める。
「……っ、神父、様……」
「…はい」
ぎゅっとアローンは私のローブを握りしめ、泣きながら言った。
「…………何故……僕は、神に愛されなかったのですか…………っ」
それが、本当の、彼の本音だったのだ。
私は何も答えられず、ただアローンを抱き締めた。
……何故神は、
彼を愛さなかったのだろうか……。
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