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(そしてそれを討つ……と)
薄暗い空間の中で、アレスとマッコイは各々の武装をチェックし、出撃前の準備をしていた。
今はS.F隊長に設けられた専用の部屋で、長椅子に腰をかけながら、出撃前の作戦の再確認をしている。
「しっかしさぁ。ホントに俺たちだけで殺せんのかね?」
俺と対角線を結ぶような位置で、スナイパーライフルの弾丸を確認しながら、素っ気なくマッコイは話し始める。
「…………らしくないな」
何時もの彼なら「楽勝♪」とでも言いながら、鼻歌でも歌っているのだが。
「ま……人間だしな、《一応》」
《一応》を強調して話したマッコイが、一瞬だけ表情を歪めた。その顔を眼にしてしまった自分にも、後ろめたい感情が流れる。
本来。S.Fに《自我》というものはない。命令されたままに動く、操り人形。勿論、偶然などではなく……必然。体をいじくられた、結果。
しかし、世の中には常に《例外》というものが存在するのだ。《例外》とは、その殆どが予期されず、そして望まれぬもの。
俺とマッコイは《例外》に当てはまる。
本来ならば、《不良品》として処理されるはずなのだが……。個々の戦闘能力が通常のS.Fより極めて高かったため、《隊長》として管理されているのだ。
その事を理解している俺にとって、自分達が《化け物》であることは事実であり。《人間》と呼ぶに値しないことは充分判っていた。
多分、姿形がほんのすこしでも違ったら《異業種》として片付けられるだろう。
そんな考えが浮かび、自嘲気味に含み笑いをした。
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