激戦の標

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(こいつがA.F総隊長……!) 「肉眼で目標を確認した。そちらからはどうだ?」 通信機で再び交信してみると、その声には余裕がちらついていた。 『見えるは見えるんだけどねぇ……。コッチにも敵さんが来たわ。援護できそうにもねぇ』 「…………」 こんなにも早く情報が漏れるのは流石におかしい。故意に誰かが手を引いたのは明白だ。 『こいつぁハメられたな。メリアのやろ~、俺達はもう用済みってか?』 笑いながらマッコイは喋る。それから察するに……マーキュリーの真意は理解しているに違いない。 『どうするアレス?バックれて、このまま逃げちまうってのもアリだぜ?』 俺達はS.Fに入った時から、マーキュリーと共にいたから分かる。彼の伝えたいことが。 つまりマーキュリーは、俺達に《逃げろ》と告げているのだ。俺達がS・Fなだけに、常に管理されている為に、こういった伝え方しか出来ないのだ。 が……しかし。 それに反抗した。 「必要無い。俺達がこれで勝利すればな……。捨てられるのは、《役立たず》だからだ。裏を返すと、有用性を見せ付ければ何ら問題などない」 『流石!そう言うと思ったぜ!』 それを聞いて、頬の筋肉が緩む。 「マッコイ」 『あん?』 「死ぬなよ」 『そっちこそな!』 通信機を外して、段々と心臓が高鳴っていくのを覚えながら、身構えた。それに臆するような素振りもなく、再びジェイレスは話し始める。 「そんなに気張るな。後々保たないぞ。別にオレはお前たちを殺しにきたわけじゃない。質問しに……験しに来たんだよ」
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