27人が本棚に入れています
本棚に追加
(こいつがA.F総隊長……!)
「肉眼で目標を確認した。そちらからはどうだ?」
通信機で再び交信してみると、その声には余裕がちらついていた。
『見えるは見えるんだけどねぇ……。コッチにも敵さんが来たわ。援護できそうにもねぇ』
「…………」
こんなにも早く情報が漏れるのは流石におかしい。故意に誰かが手を引いたのは明白だ。
『こいつぁハメられたな。メリアのやろ~、俺達はもう用済みってか?』
笑いながらマッコイは喋る。それから察するに……マーキュリーの真意は理解しているに違いない。
『どうするアレス?バックれて、このまま逃げちまうってのもアリだぜ?』
俺達はS.Fに入った時から、マーキュリーと共にいたから分かる。彼の伝えたいことが。
つまりマーキュリーは、俺達に《逃げろ》と告げているのだ。俺達がS・Fなだけに、常に管理されている為に、こういった伝え方しか出来ないのだ。
が……しかし。
それに反抗した。
「必要無い。俺達がこれで勝利すればな……。捨てられるのは、《役立たず》だからだ。裏を返すと、有用性を見せ付ければ何ら問題などない」
『流石!そう言うと思ったぜ!』
それを聞いて、頬の筋肉が緩む。
「マッコイ」
『あん?』
「死ぬなよ」
『そっちこそな!』
通信機を外して、段々と心臓が高鳴っていくのを覚えながら、身構えた。それに臆するような素振りもなく、再びジェイレスは話し始める。
「そんなに気張るな。後々保たないぞ。別にオレはお前たちを殺しにきたわけじゃない。質問しに……験しに来たんだよ」
最初のコメントを投稿しよう!