勝利の価値

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木製の円卓が中心にあり、部屋の中で、その作戦会議は始まった。 まぁ、《会議》とは銘打ったものの、実際はそんなに大きなものではない。 この空間には三人の人間しか存在していないのだ。 自分の職務上何回もここに足を運ぶが、木目の入った濃い茶色しか色のない空間は、正直な所あまり好きではない。 そんなことを考えている内に、自分が背にしている扉から一番離れた席から、明瞭でやや高い声が流れてきた。 「我々(エルドバイン)の管轄下にある島国。《和》にて、A.F(アンデッド・フォース)による、大規模な武装反乱が起き、和(わ)の《京》が占領された。この反乱を鎮圧すべく、今回はアルファチーム隊長の《アレス》。そしてオメガチーム隊長、《マッコイ》に和へ向かってもらう」 S.F(サイエンティフィック・フォース)所属。総司令官の《マーキュリー・シュバルツ》が、俺たちに任務の概要を説明をし始める。 落ち着いた雰囲気と、長身。腰まである金髪が特徴的である、大人な男性だ。 「目標(ターゲット)は?」 真っ白い壁に寄りかかりながら瞳を閉じ、翠色の髪をオールバックにし、眼鏡をかけている、同い年の少年。《マッコイ・マルス》が徐に口を開けた。 それに対し、マーキュリーが応じる。 「A.F。《元》総隊長。《ジェイレス》」 総隊長? T.F(トリプル・フォース)の内の一角が裏切ったというのか? 「なぜ、総隊長が反乱を?」 反乱軍の首謀者であるジェイレスの真意が全く持って判らず、俺もたまらず質問をぶつけた。 「そんな事……私が知る訳ないだろう。ましてや、お前たちの気にすることではない」 マーキュリーはそう吐き捨て、金髪を靡かせながら、三十階にある会議室を後にした。 彼が部屋を発って、完全に見えなくなってから二、三秒経った後。 「だぁぁ~~~~~~~!」 マッコイが沈黙を破った。
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