誘われて…

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バタン 『ふう…』 私は自分の部屋に入り、ペンダントにして首から下げているシルバーリング、自作した聖水を入れた瓶、そして借りてきた銀刃の儀礼槍を、用意した魔術具専用の棚に並べる。 『まだまだ、魔術使いっぽい部屋じゃないなぁ』 棚に並べられた、三つの魔術具、それだけじゃとても祭壇には見えない。 『その内、木村君みたいに、色んな材料や消耗品も買い足さなくちゃね』 私は棚から離れて、ベッドに座り日課の呼吸法、弛緩法、イメージの練習を始める。 『…………………』 まだ私は、木村君みたいに魔術を使う時の「世界」や「象徴」が定まってない、魔術の実践を重ねてゆく内に頭に何となく浮かんでくるそうだけど… だから私は、初歩的な光の玉をイメージして魔術を使う、今は自身の頭上に小さな太陽を想像している、夏休みに散々に木村君の家に押しかけ、最初にやってみるように教えられたのが、このイメージ練習だった。 今では随分と簡単にイメージ出きるようになったけど、初めて間もない頃は、どうにもボンヤリしていて、光の玉もしっかりと思い浮かべられなかった、その頃に比べたら腕が上がったのが自覚できる。 その練習を15分くらいやった後、私はイメージを消した。 時計の針も深夜の11時を指している、そろそろ終わりにして、今日は眠る事にしよっと。
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