呪いの子

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男は何が起きたのか理解出来ないでいた。 倒したと確信していた者が立ち上がり、ただ殴られただけなのに有り得ない距離まで吹き飛ばされている事に。 (この腕力、先程のあの少年のものとは比べ物にならない。一体何をしたんだ…) 男はゆっくりと立ち上がり、零を睨む。 よく見ると零の身体の周りには微弱な電気がバチバチと音をたてながら放電していた。 (こいつ、どこかにクリスタルを隠していたのか? いや、クリスタルは一般人がもつ事を法律で禁止している。ましてや裏で買ったとしてもこんな学生が買えるような値段ではない。こいつまさか…) 男は左手を自らのクリスタルに被せる。 するとクリスタルから光が放たれ、男の左手に弓が現れる。 (試してみる価値はある…) 男が弓をひくとそこに緑色の矢が出現する。 そして男は手を放す。 放たれる矢。 それは常識を超える速さで零に向かって飛んでいく。 しかし零はそれを二本の指で挟んで止めた。
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