0~ideal~

4/5
前へ
/129ページ
次へ
校門が見えてきた。 段々と大きくなってくる。 良かった。まだ来ていなかったようだ。 後数歩で校門を抜ける。 ───そこに。 「遅いよ!すぐに出てくる、って言ってたじゃん!」 死角から飛んできた女の声。 驚きを隠さず声の方に目を向ける。 そこには、拗ねている自分の彼女がいた。 顔は良く見えない。 名前も知らない。 「遅刻だよ!これはもう大犯罪だよ!」 …2分の遅刻は罪だったようだ。 「愉快な仲間達を追っ払うのに必死だったんだ。2分の遅刻で済んだなら大殊勲だろ」 「あー!開きなおってる!私怒ってるんだからね!」 顔は良く見えないが、こんなかわいい怒り方なら歓迎会を開きたいくらいだ。 「悪い悪い。お詫びに何かおごるから許してくれよ」 女はむっ、と自分を上目遣いで睨む。 「それで許すと思ってるの!?」 「思ってるよ。顔にそう書いてあるから」 「え!?」 女は顔を手で隠す。 途端、はっとしたかと思うと、怒りの演技は続行不能と悟ったのか、あはは、と笑い出した。 「当たり。高っかいものおごらせてやるんだから!」 何をおごらされるんだ…。               ‐
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1715人が本棚に入れています
本棚に追加