1~oneself~

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そう思い、狭い部屋いっぱいに敷かれた布団をたたみ、押し入れに詰める。 そして、顔を洗って頭をさっぱりさせるため洗面台へ向かった。 人間ならば朝、顔を洗うときに鏡を見るのはほぼ当たり前だろう。 今日も俺は格好いいなぁと鏡で自分の顔を確認したりとか、何で俺はこんなに見事なアンバランス加減で不細工なんだろうか、とか。 色んな事を思うだろう。 俺だってそういう普通の人達と同じだ。 毎朝、家で鏡を見るたびに、それこそ痛いぐらいに思う事がある。 「──こんなもん、無けりゃいいのに…」 そう。鏡に写る、自分から生えている獣耳を見るといつも思う。普通とかけ離れた耳を、障害なんかではなく、れっきとした俺の耳を。 「…はぁ……」               ‐
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