つきのおさかな。

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昼間は外に出すことはできないので(さすがに)、夜に月が出ると散歩に出かけることも多くなった。 秋から冬に変わる空気は冷たい。 空を飛ぶように泳ぐ光樹も、寒くなってくると私のコートのポケットに入るようになった。 「昼間出かけられない分出かけてるのに、コートに入ったままじゃあんまり意味なくないか?」 『いいのー。こうやってあったかいのが好きなのー。』 幸せそうな顔をしてぬくぬくと暖まっている光樹を見ると、ふんわりと今まで感じたことのなく、どこかで知っている幸せを感じた。
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