├:剣とジョーカー

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   魔法のランプみたいな望みを叶える事の出来る、そんな力が欲しいと願った頃が一時期あった。  叶えたい望みがある訳でもない。  世界平和だとか、戦争根絶だとか、そんな想定外の。  心の深奥にある願望なんてものも全くちっぽけなもの。  努力すれば簡単に手に入れられる、そんな想定内の。  チープな理想が都合良く成就してしまう世界なら、必ず何らかの不都合が生じてしまう。  矛盾を抱えるからこそ成立する世界。合理的というに他ならない。必然でありそれが真実。  思いのままに何もかもどうにか出来たら、今頃“こんなこと”はやめて普通の学生生活を満喫している予定なのに……。  だから自分には“普通”が高望みだと言える。  残念なことに、どういう都合か自分は一般的とか、平和、日常、道路交通法違反とか、そんな平和ボケした言葉から隔絶された次元にいた。  人付き合いにしても抜群ではないし、道化を演じられるほどでもないのは、それからくる器用貧乏なのが原因なのかも。  ……まぁ、他にもあるんだろうけど?  
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