├:剣とジョーカー

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   魂胆には、自分に陶酔するような満足感はない。  体裁を良く見せたところで、日々重ね続けているのは結局、『自己満足』、下手をすれば『ただの暴力』だ。  何ヵ月か前に生まれた“偶然の産物”が始まりだった。  欣然として望んだのは覚えているし、その日が終わる頃には胸糞悪いだけで、そんな感情も消え失せていた。  同時に残されたのは茫漠とした不快感と、悲痛に歪む男の顔。  それでも止めようとしない自分は何なのだろうか。その答えを“奴”にも問い掛けたりもした、案の定無駄骨だったけど。  その最初の一回の交わりで 味を占めたのか(実際どうなのか分からないが)、最近の“奴”の粘着的な絡みは馴れ馴れしいなんてものじゃない。  エンカウント率なんかそりゃあもう──。 「───い……、おい! 何ぼけーっとしてんだよ! お前の番だ、早く出せ!」  そこでふと我に帰る。  一つの勉強机がムサい男達によって囲まれ、机の真ん中には無造作に捨てられたトランプと、何とも現代的な風景が教室の一角を彩っていた。  
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