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声を張り上げた男含め四人が俺を見つめていた。
騒がしい昼休み、皆それぞれがそれぞれの時を過ごす時間に、俺はいる。
昼食をとった後の超絶暇時間を潰す為に、むさ苦しい男達五人、トランプで賭けをしている最中だったのだ。……受験?何の話か分からんねぇ?
無意識に物思いに耽っていたせいで、現在の状況を整理する思考が廻らない。ここで奴等を油断させる。
「へへ……知ってるか?現実(リアル)はネットのと違ってたかがカード一枚出すのに制限時間はないんだぜ?つまり俺は悠久の」
「馬鹿言ってねぇで、はよ」
視線が自分に注目する中、四人の手元と、机のトランプを見渡す。
皆の手元には、最低4枚、最大7枚、それぞれの手中に納められている。しかし対する俺、2枚。
机上で重なっている一番上の札、縛りなしの【ダイヤの2】。
俺の手札、【スペードの3】、そして【ジョーカー】
(……なんてこったい)
運命か否か、これで37回連続ジョーカー。
『大富豪』において、最強のカードは【ジョーカー】。
プラス ローカルルールで、【ジョーカー】に唯一勝つことが出来る【スペードの3】。勿論今のゲームに適用されている。
つまり今の俺には負ける要素がない、という事だ。ここで【ジョーカー】を出せば勝ちは確定する。
そして迷わず選択した!
「パス、ね」
と。
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