想い…

2/10
前へ
/106ページ
次へ
高校2年の春…。 新学期がやってきた。 私、仲根李子(りこ)は前々からただ一つの事を毎晩、寝る前に願ってきた。 「どうか、神様!居るのでしたらアイツと同じクラスに…」 クリスチャンでは無いが、人間いざという時は神様にすがってしまうものだ。 その神頼みが、報われるかどうか今日にかかっている。 恐る恐るクラス替えの表を見る…。 (………あった!!) 心の中で叫んだ。 「神様ありがとう!」 そんな時、後ろから聞き慣れた声が聞こえた。 『また同じかよ…。』 小学校からの腐れ縁にして、私の想い人の殿村淳(とのむらじゅん)だ。 『その言葉そっくりそのままお返しします。』 手を差し出し言い返す。 あぁ…可愛くない…。 本人を目の前にすると、どうしても素直になれない。 そんなとき、差し出した手を『返されても困るんだけど…。』と、言いながら淳は私の手を握りながら下に降ろす。 何故かその手は握られたままだった。 いつもなら、軽くタッチする様にするのに今日は違った。 .
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

274人が本棚に入れています
本棚に追加