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私は極力、淳の方を見ずに聞いた。
『彼女と別れた?』
『………何で?』
『分かるよ。もう何年の付き合いだと思ってるの?』
淳はクスッと笑って言った。
『李子は何でもお見通しだな。』
私達が顔を見合わせて笑っていると、私を呼ぶ聞き慣れた声がした。
急いで繋いでいた手を離す。
『リ~っコ!』
後ろからおぶさるように飛び付いて来たのは、親友の大木香苗(おおきかなえ)だ。
『ねぇねぇ。クラス発表見た見た?私達、また同じクラスだよ!』
淳の名前を捜すのに夢中になっていて、香苗の存在を忘れていた私はとっさに話しを合わせた。
『見たよ!昨日、香苗と違うクラスにならないか心配で、眠れなかったんだよ~。』
『私もだよ~。』
私達は人目をはばからずに抱き合った。
そんなやり取りを、淳が呆れた顔をして見ながら言った。
『付き合いきれん…。俺、先行くな。君達はごゆっくり~。』
そう言うとそそくさと行ってしまった。
私達は少しの間、その場で話してからクラスへと向かった。
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