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そんな状態のまま、一時間たった頃、ポツリポツリと小粒の雨が降ってきた。
気温も下がり、冬でもあるから外はとても寒かった。
吐く息も白くなった。
それでも亜希は待った。
光哉からの言葉を。
なぜそこまでしたのか、亜希自身ですらわかっていなかった。
友達に言われたから?
意地になっているから?
聞かなかったとしたら
後悔するから?
逃げた気がするから?
それとも
自分が光哉のことを意識しているから?
なにもかもがわからなかった。
でもどれも今の自分に対しての正しい答えでないことを亜希はよくわかっていた。
―じゃあこれからどうするの?
そんな疑問も浮かんでは消え浮かんでは消えを繰り返していた。
亜希は光哉の言葉を待ちながらどこか遠くで雨の音を聞きつつ、そんなことを考えていた。
―わからない
その答えがでたとき、やっと重く閉ざされていた光哉の口が開いた。
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